本投資法人は、企業の社会的責任として持続可能な社会の実現を目指してサステナビリティの向上に取り組むことを重要な経営課題と位置付けており、グリーンファイナンスの実施により、サステナビリティへの取組みを一層強化し、持続可能な社会の実現・発展に貢献すると共に、グリーンファイナンスに積極的な金融機関への融資機会の提供を通じて、グリーンファイナンスの発展に寄与することが可能になると考えています。
グリーンファイナンスとは
企業や地方自治体等が、国内外のグリーンプロジェクト(環境問題の解決に貢献する事業)に要する資金を調達するために発行する債券(グリーンボンド)や借入れ(グリーンローン)をグリーンファイナンスと呼びます。グリーンファイナンスの主な特徴として、調達資金の使途がグリーンプロジェクトに限定されること、調達資金が追跡管理されること、また、それらについて発行/借入れ後のレポーティングを通じて透明性が確保されることがあげられます。
非上場オープンエンド型不動産投資法人である本投資法人は、投資法人債の発行ができないため、調達資金種類は借入金(グリーンローン(同ローンに付随する金利デリバティブ契約(グリーンデリバティブ)を含む))に限定しております。
グリーンファイナンス・フレームワーク
本投資法人はグリーンファイナンスに関する基本方針を定めた「グリーンファイナンス・フレームワーク」を以下のとおり策定し、これに則り、グリーンファイナンスを実施します。
1. 資金使途
グリーンローンによる調達資金の使途は、以下に記載される適格クライテリア1に係る取得資金又はそれに要した借入金の返済資金、及び適格クライテリア2に係る省エネ工事や設備等改修工事の資金に限定されます。
- 適格クライテリア1
-
- DBJ Green
Building認証
「★★★」以上 - CASBEE
不動産評価認証
「B+ランク」以上 - BELS評価
「★★★」以上
適格クライテリア1を満たす保有物件を「グリーン適格資産」といいます。
- 適格クライテリア2
-
- エネルギー消費量、GHG排出量等、従来比30%以上の削減効果が見込める設備等改修工事
- 適格クライテリア1に定めるいずれかの認証において、評価レベルを1段階以上、改善させることに繋がる設備等改修工事
- 再生可能エネルギーに関連する設備の導入又は取得
上記省エネ工事や設備等改修工事は、資金調達実行日までに支出済又は支出予定のものに限ります。
2. プロジェクトの評価及び選定プロセス
適格グリーンプロジェクトを含むサステナビリティに関わる業務については、本資産運用会社に設置された「サステナビリティ推進委員会」の事務局である「サステナビリティ推進室」と、本投資法人の資産の運用に係る業務を担う「プライベート・リート本部」が中心となって推進します。
サステナビリティ推進委員会は、本資産運用会社の代表取締役社長を委員長とし、プライベート・リート本部長を含む、各本部長等、コンプライアンス・オフィサー、財務経理部長等を委員として構成され、社会情勢や本資産運用会社及び本投資法人を含む、本資産運用会社が資産の運用を受託する各投資法人の運用状況を踏まえながら、サステナビリティに関する方針や目標、各種取組みの検討、モニタリングなどを行っています。
適格グリーンプロジェクトの選定を含むグリーンファイナンスによる資金調達に際しては、本資産運用会社運用委員会の承認を要し、適格グリーンプロジェクトの評価や資金使途、適格クライテリアとの適合性及び適格グリーンプロジェクトへの資金充当後の調達資金の充当状況の見通し等について、サステナビリティ推進委員会へ報告されます。
3. 調達資金の管理
グリーンファイナンスで調達した資金は、グリーン適格資産の取得又はそれに要した借入金のリファイナンスに紐づいていることを確認の上、速やかに充当することとします。
各決算期末時点におけるグリーン適格資産の取得価格の合計額に総資産LTVを乗じたものに、適格クライテリア②に投じた金額の合計をグリーン適格負債額とし、グリーンファイナンスの上限額を設定します。
グリーンファイナンスの残高が、グリーン適格負債額を上回らないよう管理します。万が一上回った場合は、未充当資金相当額を現金又は現金同等物で管理します。
4. レポーティング
資金充当状況レポーティング
グリーンファイナンスの適格負債残高がグリーン適格資産の取得価格の総額及び適格クライテリア2を満たす保有物件の設備等改修工事の総支出(予定)額の合計額(グリーンファイナンスの上限額)を超過していないことを、調達資金の金額が適格クライテリア1及び2に合致するプロジェクトに充当されるまでの間またはグリーンローンの返済日が到来するまでの間、年次で公表します。
- グリーンファイナンス
適格負債上限額 - =
- グリーン適格資産の
取得価格の合計額 - ×
- 総資産LTV
- +
- 適格クライテリア2に
投じた金額の合計額
インパクトレポーティング
グリーンローンの返済日が到来するまでの間、以下の指標を公表します。
<適格クライテリア1>
- グリーン適格資産の物件数及び認証、延床面積の総計
- オフィスビル(但し本投資法人がエネルギー管理権限を有する区画に限る)のエネルギー消費量、水消費量、GHG排出量
<適格クライテリア2>
- 改修前及び改修後のエネルギー消費量、水消費量、GHG排出量等の推定削減率
- 再生可能エネルギーに関連する設備により期待される年間発電量
外部機関の評価
本投資法人は、グリーンファイナンス・フレームワークの適格性について株式会社日本格付研究所(JCR)より「JCRグリーンファイナンス・フレームワーク評価」の最上位評価である「Green 1(F)」を取得しています。
JCRによるグリーンファイナンス・フレームワーク評価結果
グリーンファイナンス・フレームワークに基づくレポーティング
資金充当状況レポーティング
2023年6月30日現在、本投資法人のグリーンファイナンスに関する資金充当状況は以下のとおりです。
- グリーンファイナンス
適格負債上限額 - 422 億円
- >
- グリーンファイナンス
の残高 - 181 億円
本投資法人のグリーンファイナンスの残高はグリーンファイナンス適格負債上限額を超過していません。また、未充当資金はありません。なお、グリーンファイナンス適格負債上限額は2023年5月31日時点の数値に基づき集計しています。
グリーンローン実施状況
区分 | 調達金額 | 調達時期 | 返済時期 | 充当状況 |
---|---|---|---|---|
シリーズ28-B | 1,100百万円 | 2022年9月30日 | 2028年9月30日 | 充当済 |
シリーズ29 | 1,100百万円 | 2023年1月31日 | 2030年7月31日 | 充当済 |
シリーズ30-A | 5,000百万円 | 2023年2月28日 | 2024年2月29日 | 充当済 |
シリーズ30-B | 400百万円 | 2028年8月31日 | ||
シリーズ30-C | 1,600百万円 | 2029年8月31日 | ||
シリーズ30-D | 3,000百万円 | 2030年8月31日 | ||
シリーズ30-E | 1,600百万円 | 2031年2月28日 | ||
シリーズ31-A | 2,200百万円 | 2023年3月31日 | 2026年3月31日 | 充当済 |
シリーズ31-B | 400百万円 | 2027年3月31日 | ||
シリーズ31-C | 400百万円 | 2028年9月30日 | ||
シリーズ31-D | 1,000百万円 | 2030年3月31日 | ||
シリーズ32 | 300百万円 | 2023年6月30日 | 2027年6月30日 | 充当済 |
インパクトレポーティング
2023年8月31日現在
- グリーン適格資産の物件数
- 5 物件
- グリーン適格資産の延床面積(注)
- 281,941.86 ㎡
(注) | 各グリーン適格資産の建物全体の延床面積の合計を記載しています。 |
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グリーン適格資産の認証数(注)
- DBJ Green Building認証
- 1物件
- CASBEE不動産評価認証
- 4物件
(注) | 適格クライテリア1の認証基準を満たす認証の数を記載しています。 |
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- エネルギー消費量(注1)
- 7,087 ㎘/年
- 水消費量(注1)
- 86,453 ㎥/年
- 温室効果ガス(GHG)排出量(注1)(注2)
- 13,133 t-CO₂/年
(注1) | 本投資法人が保有するオフィスビルの2022年4月~2023年3月のデータに基づき集計しています。 |
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(注2) | GHG排出量については、環境省「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度」における電気事業者別排出係数(調整後排出係数)を用いて本資産運用会社にて試算しています。 |